2008-02-11

バッハの世界

相変わらずバッハの世界に浸っております。
ジャズにまでアレンジされるバッハの音楽はそこまで抱えこめる奥深さ、幅広さを持っているもので、やればやるほど視野が広がり毎日ため息をついています。音というものの持つ原理的な要素を、バッハはそのまま差出し、まるで天空に輝く星のようにそれをぶちまけてくれます。聴く人はそれを愛の哀しみや歓び、深海にひそむ脅威や深い森の暗闇の覆いかぶさる様な神秘さや、とにかくありとあらゆるものに振りかえて心に受け止めるのです。演奏するほうは美に対する鋭い感受性、ファンタジー...とあらゆる能力を結集して音楽をダイヤモンドのように削り上げ、磨き上げなければならない。いうなれば音楽に対してそれだけの責任を負わされているということでしょう。聴きに来てくださった方たちが ああ幸せな時をもったと歓びを感じていただける音楽まで、バッハと会話をしながら毎日を続けます。それはそれなりに本当に嬉しいことですが......
室井摩耶子