2011-12-26

年が暮れました

もう2011年も数日になってしまいました。年をとると日が経つのが早くなるとよく言われることですが本当に90年もいつの間に経ってしまったかと思います。
でもその半面いろいろのことが見えてきたり分かってきたりの思いもかけぬ景色が回りに見えてくるのは面白いことです。
先日もふと懐かしくてベーとーヴェンの15番のピアノソナタ(田園)の楽譜を引っ張り出して弾いてみたのです。これは私が上野の入試のときとベルリンのヨーロッパでビューのときベートーヴェンの夕べのリサイタルで弾いた印象深い曲なのです。ところが見えてくる姿が違うのです。そしてベートーヴェンってなんて優しい人なのだろうと涙がこぼれそうになりました。
第2テーマの嬰ハ長調から延々と続く転調句の得もいわれぬ微妙な音の移りは心に染み入るようでした。勿論美しいのは分かっていましたがこの心の許容範囲が広くなったのでしょうか、それとも私の何でも収容頭陀袋がとてもよい発行をしたのでしょうか。本当に心の染み渡っていくような「人間の優しみ」はこの曲を弾く時はこの美しさを聴く方たちにどうしても伝えなくては・・・・・とこの曲の演奏を固く決心したのでした。その時はぜひ聴きにいらしてくださいね。来年の仕事は一月九日に朝日カルチュアセンターで井熊よし子さんとの対談で始まります。このときは月光の曲を弾くつもりです。あの第1楽章を弾くたびに本当に何という名曲だろうと思わせられます。ベートーヴェンて本当に凄い作曲家ですね!!!

2011-11-29

音楽会を終えて

先日 11月12日卆寿の音楽会が済んだなと思ったら、もう二週間も経ってしまいました。演奏会の前(10月18日)不覚にもお腹をこわし 約10日間ひっくり返って寝てしまいましたので音楽会までは、まるで綱渡りをしているようで毎日〝もう音楽会には弾けない〟と喚いていました。でも音楽会は皆さん感激してくださって〝聴いていて鳥肌が立った〟とまでおっしゃってくださるのには私のほうが逆に感激してしまいました。このところ漸く体調も元のように健康優良児に戻りピアノの前に座り12月11日の(お弟子さんが私の卆寿を祝ってくださる会)に弾くモーツァルトのAdagioを取り組んでいます。前に弾いたときとはまた違った貌が見えてきて〝モーツァルトさん、あなたは何を考えながらこのSubito pianoやSubito forteを書いているの?〟とか〝このテーマの出は何を言いたいの?〟とかクエスチョンと出てくる音とで楽しんでます。
私のかわいい生徒さんたち(といっても50歳にもなり、あちらやこちらの教授だったりコンクールの審査員だったりしますが)それぞれの考えを披露してくれる音楽会は楽しみです。私も負けないようにガンバラなくちゃ・・・!!!

室井摩耶子

撮影:木村佳代子

2011-09-08

9月10日のテレビ出演

もう明後日のことになりましたが、9月10日TBSテレビで2時から3時半の番組に出演します。題名は世界長寿超人グランプリという恐ろしいようなタイトルですが、私の出番は最後のほうだそうです。色々場面は撮ったのですがどんなことになっているか興味津々です。

漸く少し涼しくなって秋めいてきましたが、今年は地震・津波・台風と大変なことが続きました。何を天の神様はイカッテいるのでしょう。秋とともに少し静かになってほしいものです。でも私自身のことで言えば音楽会々々で曲の仕上げに十分な時間があるのかしらなんて、オロオロしてます。気候が落ち着けばピアノへの集中もできるようになるでしょう。
天の神様もゴキゲンを直してネ!!
室井摩耶子

2011-08-12

暑い、暑い



良くこんなに暑い日が続きます。お変わりなくいらっしゃいますか?
もう1月も前になってしまいましたが北海道網走に3日ほど遊びに行ってきました。女満別の飛行場を出ると温度計は36度を指しビックリしました。でも北海道特有の透き通るような空気で思わず深呼吸してしまいました。特に水の上は(写真)気持ちよく、その前にジャガイモ畑の中を迷子になって どうしよう? どうしよう? なんて(写真)オロオロしたことなんて忘れてしまいました。
でも東京に帰ってきたら蒸し暑さと、たまってた雑用に追われて東電さんには悪いのですが冷房をガンガンつけています。ピアノをひいていると、好きなことでストレスが無いから長生きするなんていわれて、ピアノを練習するって凄くエネルギーの要ることでストレスの固まりだァーなんて一人で喚いています。いやお暑いことで・・・・・
室井摩耶子 

2011-07-05

テレビのあとで

もう先月になりましたが6月28日テレビ朝日の「たけしの家庭医学のプログラム」にお手伝いさせて頂いて大変面白い経験をいたしました。もう見て下さった方もおありでしょうが、90歳になって猶ピアニストとして活躍してるとは驚きだという実験台になったというわけです。私としてはピアノを弾きつづけ、作曲家たちの尽きない素晴らしいその魅力に、ただただ惹きこまれ、今まで来たということなのです。音楽がその音の織物で作り上げていく凄さは知れば知るほど底深く、喜んでくださる方がいらっしゃればいらっしゃるほど足が抜けなくなりました。
テレビの後、メールやお電話を沢山いただきましたが、その中に「年をとったら肉は食べないほうが良いと聞かされていましたが室井さんのエネルギーにあやかってこれからは肉をどんどん食べることにしましょう」などとおっしゃる方もありエネルギーの元は肉食ということになりました。これは食肉協会から褒美がもらえるかしらなどと楽しみにしていますが(^。^)・・・・・・・
「とても力をいただきました」「私もがんばらなければ」とのお便りもたくさんいただきました。
でも私としては11月12日の卆寿の音楽会に弾くベーとーヴェンやシューマンの心の声に一寸ずつでも近づくべく渾身の力をかけた毎日が続くのみです。
皆様のご声援を背にがんばります。
室井摩耶子

2011-06-24

肉食人種長寿族ことピアニスト

先日 朝日放送 たけしの家庭の医学 から(例によって肉食人種長寿族の)取材を受けました。取材は長々とかかっていましたが、さて放映は何分でしょう?

放送は6月28日です。

室井摩耶子

節電!?!?

急に真夏日がやってきて参ってます。電力制限でガマンしていましたが 汗はタラタラ。とうとうガマン仕切れなくなって、冷房を付けたら「涼しいって なんて気持ちの良いこと!!!」と大感激です。
まあ人間って本当に身勝手なものですね。この間まで、こんな気候でのうのうと〝感謝もしないで〟暮らしていたのですもの。
でもピアノをひくことにも原稿を書くことにもぜんぜん集中できないのは大困り。電力会社には申し訳ないけれど冷房をつけさせていただきます。

原発の事件が起きたとき、私は電力事情について何にも知識が無いことを改めて思い、愕然としました。原発なしに世の中回っていけるの?いけないの?コタツの生活から離れてまだそんなに時間は経っていないのに・・・・・。
だから「原発反対」って大きな声で叫べないことにイライラオロオロしています。

室井摩耶子

2011-05-02

演奏会を延期しました

この頃どなたとお話してても東日本大震災のお話のみで「どうしてこんなに無気力なのでしょう」で終わります。本当に社会全体がすっかり沈潜してしまって「どこかに行こう」とか「何かをしよう」とかの気持ちに動かなくなってしまいました。
私もこんなときに音楽会をやっても音楽を楽しむ気持ちには到底なれないとマネージャーとも話し合って6月の演奏会は11月に延期と言うことに決めざるを得なくなりました。
90年生きてこんなに世の中じゅうが沈み込んでしまったことなどありませんでした。戦争の時だって東京大空襲にしろ原子爆弾投下にしろあのすべてが破壊しつくされた惨状の中でも私たちは生きようという心を持っていました。だからこの無気力状態(頭がどう思っても体は動かない)は本当に人間の不思議さをまざまざとみせつけられたようで、ただ流れの中をアップアップしているだけなのです。
確かにわたくしはシューベルトの最後のソナタを聞いてその中に音楽が人間に与えてくれる力があることを感じました。
神様がシューベルトという天才を通じて私たちに語りかけてくれるものは本当に凄いと思いました。
でも何はともあれやっぱり“元気を出しましょう”でしょうか。
室井摩耶子

2011-04-21

がんばりましょう

多分、どなたも同じと思うのですが身も心もここにあらずの1ヶ月あまりでした。その間数多くの方々がコメントをお寄せになったりいろいろの情報を教えてくださいました。始終部屋を揺さぶってくる地球の凄いエネルギーに呆気にとられながら今まで経験したことも無い次々の事柄が現れるのを見たり聴いたりしているわけですが、その度に人間対自然の凄まじさに度肝を抜かれてます。そして私たちの周りに立ち込める空気は私たちを〝普通の生活〟に戻してはくれません。私は会う人ごとに「これは何なのかしら?妖気?悪霊の吐く毒気?」と尋ねているのですが「本当にねぇ」というだけで、やっぱり返答のないまま時が過ぎていってしまいます。異常というのは平常というものが手前にあって初めて存在するものです。しかし今その平常というものが姿を隠してしまっているので、あの凄い津波のような異常な波になすすべも無く巻き込まれて押し流されていっているということでしょうか。でもわたしはピアノを弾くのに命をかけた人間ですから、やっぱり音楽で皆さんの生活を元に戻す力の一助になりたいと思っております。
がんばりましょう!!
室井摩耶子

2011-03-26

東日本大震災

あの悲惨な大災害があってからいつの間にか2週間という日が過ぎました。毎日朝から晩までテレビの前に座っていると、ものすごい災害だったのだなと心が痛みます。その上に原発の騒ぎが持ち上がって世の中一体どうなっちゃうのでしょう。
こうなると言葉というものは無力でその痛みの100分の1も表現してくれません。木片や窓枠や空箱やひしゃげた自動車やを抱え込んで黒い壁になって覆いかぶさってくる津波、その圧力、早さ、その凄いエネルギーはテレビの前に座り込んでいる私の背中をも一呑みしそうな迫力でした。でもその数ある映像を観ながら私は日本人て、なんて素晴らしいのだろうとひどく感激したのは、この災害ですべての秩序がメチャメチャに壊された中で、実に見事な行動をしていることでした。このあいだ起こったニュージーランドの地震のときは、直ちに災害地への立ち入り禁止で遺族すらバスの中に閉じ込められてしまいました。つまり他国では、すぐに起こるだろう略奪、暴動への懸念など日本では必要も無かったのです。警官や自衛隊は人を救出することに専念していました。
こうした非常時に意識していなかったことが突然目の前に突きつけられて、私は改めて日本人と言うものに大いなる誇りを持ちました。

後は神さま仏さまよろしくお願いいたします。
   室井摩耶子

2011-02-16

肉食人種のつぶやき

新しいピアノの部屋の3人掛けソファー(実は私のヒルネのため)がゴブランのすごく格式高い織物で覆われていて、誰かインタービュアーが来てくれないかしらなどと言っていたら、もう3回目のTBSテレビがカメラマンともども7人チームで現れてくれました。ソファーにそっと「よかったねー」などとつぶやき(いまの流行語)かけました。
放映は18日(金)の朝のハナマルマーケットだそうです。テーマは又例によって肉食人種長命族(!!)です。でもピアニストなのでチョッピリ、ピアノ演奏も入りました(陰の声;我輩はピアニストなんだぞ!! ほら魅力いっぱいのピアノの音が話し掛けてくるだろう!!・・・ナンテ)

この頃になって漸く新しい家の居心地の良さがわかってきて、誇り高き片付け魔なってきました。でも6月5日 2時開演 津田ホールでの卆寿音楽会のためのピアノの準備に没頭しなきゃ・・・と目下、頭と体の切り替えに専念してます。
シューマンさん、ベートーヴェンさん よろしくネ。
室井摩耶子

 

2011-02-13

新しい家に大分慣れました

2月13日 (本当は1月20日に出すハズでした)

お引越しをして間もなく2ヶ月が経とうとしています。
なんだか落ち着いたのか落ち着かないのか良くわからないという感じです。
少しずつ必要品は買い求めていますが、なにが何処に行ったのか行方不明
のものも多く、これはここで新しい人生を始めると思ったほうが早いかななどと
も思ったりしてます。

門柱の上にはもう20年来も我が家にいた焼き物のシャチが2匹、入ってくる人を見張っていますが、これらも古い家時代はあまり存在を認められず、門に乗っかったらなかなかカッコウがいいじゃない等と誇りをもって威張っています。
古い家の門柱のところにあったヒマラヤスギも目に付くようになり「え?いつの間にそんなに大きくなったの?」と、もう20m以上も高くなって立派です。

新「ピアノの部屋」には南と北に格子戸がつき、部屋に座っていると石庭の(全く日本風な)窓と、そしてヒマラヤスギがあたりを睥睨する野趣満々の北窓とその格子戸の窓枠に区切られた一幅の絵として、なかなかいい趣です。私がああこうと指示して作ってもらったもので無く、そんな風になっちゃったいった家なので、なんだか時々私は何処にいるんだろう等と思ったりしながら、広々とした家を闊歩してるというわけです。建物というものも私のもっている古い「家」というものの感覚とは全然別で、私がグチャグチャ口を出さないほうが良かったんじゃないかと「新しい常識」に目をむいています。床暖房で一日中 部屋は小春日和で、「今年の冬は厳冬ですね」等と言われても、「そうそう」などと相槌をうつより「あら そぉ?」等とトンチンカンな応答をしているといった具合です。

平屋に生まれて ずっと平屋に住んでいた私ですが、死ぬまでに一度二階に寝たいといった願望だけは全く正解で、東南に開ける窓から暁方の空の色の刻々と変わる変化に朝も早く目が覚めるようになりました。それは本当に美しいものですよ!!

家を建ててみて、いろいろな場面に遭遇して本当に度々大感激しています。
こんな経験は生まれてから初めてで、人生と言うものは面白いものだと再認識しております。
これから6月5日の「卆寿の演奏会!!」に向けて、またピアノに必死になる日が続きます。

室井 摩耶子