2007-07-20

あたらしいCDのこと

今年2月10日の音楽会のライブCDができました。題は「魂のMozart」です。前のに引き続いてMozartの特集になりますが、音楽というものは面白いもので、その時々で色々な姿を現してくれます。
私も長い間生きてきて,この頃楽譜の中に作曲家の深い音楽の思想を見るとき、私は本当に長く生きていてよかった、そして健康に恵まれそれを音として表現することができるのは何と幸せなことだろうとつくづく思う毎日なのです。
 さて、このアダージオK.540は、ここ1年ほどぞっこん惚れ込んで磨きに磨いて弾きこんだ曲です。最初の単音の3つの音によるテーマにはMozartの慟哭の思いが詰め込まれています。このテーマは曲の至る所に出てきますが、それは 時には隠された焦燥、時には暗闇の中でのつぶやき、涙さえ拒絶する哀惜の情と、その場その場で色合いが変わります。
私はこの人間の醍醐味にあふれた〝響き〟を持つ音楽に本当にたくさんの勉強をさせていただいたと思います。その場その場でそれぞれの極めつきの〝響き〟が要求されるのですから…。だから「ピアノの演奏を聴いているというより何か話しかけられているよう…」とか「長い人生に蓄積したものがピアノの音から立ち昇ってきますね」あるいは「Mozartと室井摩耶子との会話」「3日間もa-mollのソナタを繰り返して聴きました…」などと言ってこられるのを聞きますと私は本当に嬉しいのです。では「どんな曲?」と聞かれると私は「まぁ聴いてみてください」というよりほかありません。

きょうはCDに興奮して再びアダージオに振り回されました。

また今度…。