2019-02-16

1月終わり頃、 東京芸術劇場で井上道義さんの総監督、森山開次さんの演出でモーツァルトのドン・ジョヴァンニの公演に出かけてきた。
オペラというので私はヨーロッパで観たオペラ経験からオペラ公演を想像したのだが(常識というのはファンタジーの自由な世界をずいぶん邪魔するものだと後で思い知ったのだが)それはモーツァルトの音楽とオペラの歌い手とそして舞踏のカテゴリーを新しく組み合わせた新演出の企画だった。主役のジョヴァンニとその他の配役はヨーロッパの歌手であって実に見事に歌っていた。
ブラボーという掛け声が盛んに飛び交っていた。
日本人のコロラトゥーラもよく歌っていた。張り上げたコロラトゥーラの声が見事に美しかったが、時にオペラの音楽の流れを遮りこれがあちらの歌唄いだと、もうちょっと音楽の流れに乗っていたのじゃないかとせっかくのテクニックの見事さに異質を感じさせたのはちょっと残念だった。そういえば井上道義さんはさすがにモーツァルトの音楽の要所要所を見事にまとめ上げ、演奏を大きな枠にはめ、昔の音楽の先生としては私は彼の音楽人間としての成長に本当に誇りを感じたのだった。もし私の思い違いでなければ”この新しい企画のフォームのオペラの将来はどんなのだろう”と期待にとらわれながら劇場を後にしたのである。
室井 摩耶子

1 件のコメント:

  1. すてきなお裾分けをありがとうございます。たまたま、テレビの「題名のない音楽会」で井上道義さんがウエストサイド物語の♪「プロローグ」を鮮やかな青の衣装で活き活きと指揮される姿と演奏に魅せられたところでした。  伝統的なオペラの衣装 舞台装置などのゆくえを案ずるヨーロッパの歌劇場の様子を伝える番組を観たこともありますが、きっとその世界と新しい企画のオペラは共存していくことと思います。 別の番組では伝統を守るには、常に新しい挑戦を と、ある老舗のご主人が語っておられました。 春 もうすぐ近くの散歩道でウグイスの声が聴けることを期待しております。

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